豹変
彼は“採る”から“獲る”へ、さらに“狩る”に変化した。
初めは、朝ご飯までの時間の暇つぶしのため、田んぼの周りを散歩し、「いろんな虫がいるねー」くらいの軽い気持ちだった。
一つ目の田んぼに踏み入れたあたりから、彼の足音と歩くリズムが変わった。
そこは、まだ日が昇ってから誰も足を踏み入れていない場所であった。事実、朝露がついた草花が、元気よく天を見上げていた。
そこに、足を踏み入れるたびに、左右に散らばる何か、、、。しかも、上と下の両方で。
彼は散歩を切り上げるコトを宣言した。
が、その目は好奇心に満ち溢れ、もう止められなかった。
一旦、家に戻り、透明で上が黄色い立体のアレをたすき掛けに、赤い柄で赤い輪っかのあるアレを利き手に持ち、鼻息も荒くなってすでに第二形態に進化しているようであった。
彼がその場に戻り、縦横無尽に駆け回り、赤い柄を振り回し、周りが騒然としてきた。
『狩り』が始まったのだ。何でも良い、狩れれば❗️
上も下も関係なく、アレが止まらなくなった。
下は、水の中でも陸の上でも両方で生きていけるアレで、殿様である。
上は後ろ足が異様に発達し高く飛んでいくアレである。
さらに、水中には赤い甲冑をまとい大きなハサミを2個も装備しているアレを後先考えずに狩るのである。